住宅ローンの知っておきたい4つの基礎知識

ライフプランと住宅資金計画の考え方

将来のライフプランとは

ライフプランとは、将来のライフイベント(出産、住宅購入、子供の進学など)のうち、自分(家族)にとって何がいつ起こるかについて計画を立てることを言います。

それぞれが個人( 家族 )にとって異なり、ライフプランを実現するためには、計画的に資金の準備をする必要があります。

ライフイベントを確認し、将来、必要な支出額のめどを立てましょう。特に、住宅取得資金、教育資金、老後資金は重要です。

住宅購入を考える場合は、住宅ローンを返済することだけでなく、教育費用が何年後にどれくらい必要か、定年後の老後の生活費のための資金はどれくらい必要なのかを把握し、住宅ローン返済が始まっても、計画的に貯蓄することが必要です。

ライフプランを踏まえた住宅購入の資金計画については、住宅金融普及協会、住宅金融支援機構や各機関のホームページをご確認ください。

住宅ローンの返済だけでなく、教育資金、老後資金の貯蓄も重要です。

返済期間の設定

返済期間の目安としては、定年までに完済するように計画していきましょう。

定年後は、現役時代の収入を維持するのは難しいと考えられますので、住宅ローンは定年までに完済するように計画を立てましょう。退職金で住宅ローンの完済を計画する方もいますが、できれば退職金は老後の性格の蓄えとして残しておきたいものです。

定年後まで返済が続く返済期間を設定する場合は、返済額相当の資金を別に準備したり、住宅ローンの借り換えや一部繰り上げ返済により返済額が続く返済期間を設定する場合は、返済額相当の資金を別に準備したり、住宅ローンの借り換えや一部繰り上げ返済により返済額を軽減するなど定年後の返済が、生活の負担とならない住宅ローン等の見直し計画を考えていきましょう。

返済期間の目安
(65歳 – 返済開始の年齢) = 返済期間

※定年が65歳の場合

ライフプランにあった「金利タイプ」を選びたい

ライフプランによって、今後の ※金利変動リスク に対応できるかどうかは異なり、選ぶ「金利タイプ」も異なります。

「金利タイプ」を選ぶ際には、金利動向(上昇局面、下降局面) だけでなく、自分のライフプランにあった金利タイプを選びましょう。収入が減ったり、教育費がかさむ場合など家計収支の変化がある場合や金利上昇によるローン返済額の増加に対応できるかどうかにより、住宅ローンの「金利タイプ」の選び方は異なります。
ライフプランによる金利タイプ選びの代表的なケースは以下のようになります。

※ 金利変動リストとは、金利上昇に伴う返済額の増額など

ライフプランによる金利タイプ選び方の例

ライフプラン 金利タイプ
  • お子様の成長に伴い教育費の負担が重くなる場合
    私学への進学を考えるお子様のいるご家庭
  • 金利が上昇して返済額が増えても共働きできず働き手が一人の場合
  • 自営業など収入が大きく変動することがあるご家庭
全期間固定金利型
  • 収入に余裕があるうちに早く返済したい場合
    現在は共働きであるが将来どちらかが仕事を辞める予定のご家庭
全期間固定金利型+変動金利型
または固定金利期間選択型
または変動金利型
  • 金利が上昇して返済額が増えても返済できる場合
    お子様の予定がなく共働きのご家庭
  • 短期間で完済できる場合
    定年退職までの期間が10年など短期間に完済したいご家庭
  • 金利の固定期間終了後に収入が増える見込みのある場合
    お子様が成長したら共働きになる予定のご家庭
固定金利期間選択型
または変動金利型

借り入れ後も定期的にローンを見直しましょう

ローンを上手に返済するには、金利動向(上昇局面、下降局面)や家計収支の変化に応じて、ローンを定期的に見直す必要があります。

住宅ローンは、借り入れ当初の計画どおりに返済できればよいのですが、金利上昇による返済額の増加や家計収支の変化により返済が苦しくなることも考えられます。そのようなリスクに対応できるように、住宅ローンの見直しが必要なのです。

見直し時期と対応については、次のポイントを参考にしましょう。

ローンの見直し時期と対応方法

  • 変動金利型や固定金利期間選択型の金利見直し時期に金利が上昇傾向にある
    → 条件変更、借換えによる金利タイプの変更など
  • 返済が苦しくなった
    → 条件変更 (返済期間の延長、返済額を一定期間減額)、借換え(返済額軽減)など
  • 定年を機に見直したい
    → 借り換え、繰り上げ返済 (期間短縮型・返済額軽減型) ※ ただし将来の生活に必要な資金を残しておく
  • 資金に余裕がある
    → 繰上げ返済 (期間短縮型・返済額軽減型)

住宅ローンに関わるリスクは?

「命」のリスク

返済中に万が一のことがあったら、残った家族が心配!
→ 「団体信用生命保険」があります。
団体信用生命保険に加入していれば、住宅ローンの残債務が一括返済されます。

「災害」のリスク

大切なマイホームが火災、台風、地震で被害にあったら心配!
→「火災保険」「地震保険」があります。

「金利変動」のリスク

世の中の金利が変動したら、返済中の住宅ローン金利はどうなるでしょうか?
→ 「保険」はありません。

  • 全期間固定金利型の住宅ローンの場合は、借入から返済までの適用金利があらかじめ確定しているため、金利上昇リスクはありません。ただし、返済中に市場金利が低下しても、借入金利の見直しがないため、借入時の金利のまま返済が続きます。
  • 変動金利型や固定金利期間選択型の住宅ローンの場合は、返済中に借入金利の見直しがあるため、借入金が上昇し、返済額が増える可能性があります。

借入可能金額について

住宅ローンには、金利、金利タイプ、借入額、返済方法等により、さまざまな商品があります。
それぞれの特徴を知り、自分にあった住宅ローンを見つけることが重要になります。

いくらまで借りられるますか?

借入可能額は、総返済負担率や物件の購入金額または担保評価額に対する融資率、借入額の上限などの条件により決まります。

一般的に、年収に対する返済割合 (総返済負担率)や物件の購入価格 またh担保評価額に対する融資率から計算した金額のどちらか低い金額が借入可能額となります。(借入額の上限を超える場合h、借入額の上限金額が限度となります。)。金融機関によって借入条件 (借入額の上限、融資率、総返済負担率) は異なります。

  • 総返済負担率とは、年始に占めるすべてのローンの年間返済額の割合をいいます。
    (総返済負担率) = (すべてのローン年間返済額) ÷ (年収) × 100
  • 融資率は、建設費 (購入価格) の80% ~ 100%まで、または担保評価額までとしている場合があります。
    金融機関によっては、建設費(購入価格)や担保評価額以上の融資を受けることができる場合もありますので、金融機関に確認しましょう。

※担保評価額とは 金融機関が算定した時価に、金融機関ごとの担保掛目をかけ価額です。

自己資金はどれくらいあったらいいの?

自己資金は総費用の2割以上準備できれば住宅ローンの選択肢は多くなります。

住宅購入の資金計画を考えるうえで、頭金をいくら準備できるかは重要です。例えば、借入可能額を購入額の8割までとしている住宅ローンでは、頭金を2割準備すると有利な住宅ローンを選ぶことができます。また、住宅購入時にかかる諸費用は購入金額の1割程度必要となりますので、手元資金として確保しておく方が金融機関の審査面でも有利になります。

ただし、自己資金が3割なくても、総予算の金額を大きくすぎず、安定的に返済できるような資金計画を組めるであれば、問題は起こりにくくなります。
なお、貯蓄はすべて住宅購入に充ててしまうのではなく、不測の事態に備えての予備資金や住宅取得後のライフプランの実現に支障がないように必要な金額を手元に残しておく必要があります。

頭金に充てられる金額が少ない場合は、例えば、親族からの援助、家計の見直しや住宅購入までにどれだけ貯蓄できるかなどを確認し、住宅購入予算を検討する必要があります。

※住宅購入時にかかる諸費用とは、住宅ローン利用時に必要な諸費用の他、不動産取得税等の税金や不動産仲介手数料、引っ越し代など

金利について

過去の住宅ローン金利の推移

住宅ローン金利が、今後どのように変化していくか予測することは難しいですが、住宅ローンを選ぶ際にはこれまでの金利動向も踏まえて選ぶことが重要です。
平成2年10月には変動金利型は8.5%まで上昇しましたが、日銀のゼロ金利政策が始まった平成11年2月以降はほぼ一貫して歴史的低金利水準が続いています。

ただし、現在の住宅ローンの低金利は、金融政策により維持されている状況ですので、今後の金利動向については注意が必要です。

住宅ローン金利の推移 (店頭表示金利)

住宅ローンの金利タイプ 金利決定の要素 適用金利決定時期
変動金利 変動金利型 短期金利との関連性が強い 一般的に、融資実行時点の金利が適用される
金融機関によっては、申込時点の金利を選択できる場合もある
固定金利期間選択型 それぞれの期間に応じた金融市場の金利の影響を受ける
固定金利 全期間固定金利型 「10年物国債利回り」に代表される長期金利に連動する傾向が強い
フラット35は、長期金利を指標にした住宅金融支援機構の提示金利に各金融機関が一定幅を上乗せして決定

金利タイプとは?

金利タイプの代表的なタイプは3つあります。

全期間固定金利型

借入れたときの金利が全返済期間を通じて変わらないタイプ

メリット

  • 借入後に金利が上昇しても将来にわたり借入時の金利による返済額が確定
  • 借入時に返済期間全体の返済計画が確定

デメリット

  • 借入後に金利が低下しても返済額が変わらない

固定金利期間選択型

「当初3年間〇%」など、一定期間固定金利が適用されるタイプ

メリット

  • 固定金利期間中は返済額を確定できる
  • 借入れ後に金利が低下すると、返済額が減少

デメリット

  • 借入れ後に金利が上昇すると、返済額が増加
  • 借入れ後に固定金利期間終了後の返済額が確定しないので、返済計画がたてにくい

変動金利型

金融情勢の変化に伴い返済の途中でも定期的に金利が変動するタイプ

メリット

  • 通常、金利固定期間が長いものよりも金利が含めで、借入時の金利水準が変化しない場合は継続
  • 借入れ後に金利が低下すると、返済額が減少

デメリット

  • 借入れ後に金利が上昇すると、返済額が増加
  • 借入時に将来の返済額が確定しないので、返済計画が立てにくい
  • 借入後に金利が急上昇した場合、未払利息が発生する場合がある

一般的な変動金利型の注意点 (元利均等返済の場合)

  • 金利の見直しは通常、半年ごと、返済額は5年間変わらない
  • 5ねんごとに見直しされる返済額は、見直し前の返済額の1.25倍までとしていることが多い。
  • 金利が一定以上上昇すると、利息が返済額を上回り、未払利息が発生する可能性がある。
  • 最終返済日を迎えても元金、未払い利息が残る可能性があり、その場合には最終返済時に一括返済することになる。

金利タイプの変更について

  • 返済中に金利タイプを変更 (変動型 → 固定金利期間選択型など) できる住宅ローンがあります。金利タイプの変更ができるか、金利タイプの変更に伴う手数料が必要かどうか、また、固定金利期間選択型の場合は固定金利期間終了後にどの金利タイプが選択できるか金融機関に確認しましょう。

    ミックスプラン (異なる金利タイプの組み合わせ) とは?

    ミックスプランとは、1つの金利タイプでの借入れではなく、2つの金利タイプを組み合わせて借り入れることです。

    住宅ローンは、借入額の金額を同じ金利タイプで借入するほかに、2つの金利タイプを組み合わせて借入れできる場合があります。異なる金利タイプを組み合わせれば、それぞれの金利タイプのメリットによって、組み合わせる金利タイプのデメリットを補うことができます。
    金利タイプの組み合わせや借入額の比率により、金利変動の影響度合いが異なりますので、金利変動リスクを認識した上で利用しましょう。

    ※ 金利変動リスクとは、金利上昇に伴う返済額の増額など

    例) 全期間固定金利型と変動金利型を組み合わせた場合

    全額を全期間固定金利型で
    借り入れる場合に比べると
    全額を変動金利型で
    借り入れる場合に比べると
    • メリット
      当初の返済額を軽減できる
    • デメリット
      将来、一定以上金利が上昇した場合は、ローンの返済総額は多くなる
    • メリット
      将来、金利が上昇した場合は、返済額の増額を抑えられる
    • デメリット
      将来、金利が下降した場合は、ローンの返済総額は多くなる

    ※ 変動金利型の住宅ローンが全期間固定金利型よりも金利が低い、全期間固定金利型の住宅ローンが変動金利型よりも金利が高い

    未払利息とは?

    一般的な変動金利型ローンの場合には、金利が大きく上昇すると、毎月の返済額の利息部分の内訳が大きくなり、ついには元金の内訳がなくなることがあります。さらに利息が毎月の返済額を超えてしまう場合は、毎月の返済額では支払いきれない利息が発生します。その毎月の返済額を超えた部分の利息を『未払利息』といいます。

    店頭表示金利 (基準金利) からの金利引き下げとは?

    金融機関によっては、店頭表示金利を引き下げるプランがあります。金融機関が定める条件を満たす場合に、店頭表示金利から一定の幅で金利を引き下げるものです。

    一定期間または全期間など決められた期間について、店頭表示金利 (通常、借り入れに適用される基準となる金利)から一定の幅で金利を引き下げる金利プランです。
    店頭表示金利からの金利引き下げには、以下のプランがあります。

    ※店頭表示金利からの引き下げプランを利用するためには、金融機関が定める条件を満たす必要があります。金融機関によって条件が異なりますので、ご確認ください。

    当初期間の金利引下幅が大きいプラン

    店頭表示金利からの金利引下幅について、当初期間の方が、当初期間終了後から返済終了までの金利引下幅に比べて大きいタイプです。金融機関によって、当初の引下期間が終了した後の取り扱いは異なります。

    例) 固定金利期間選択型 (5年)

  • 当初5年間 店頭表示金利:3.0% 引き下げ後金利:店頭表示金利から2.2%引き下げ
  • 6年目以降 引下げ後金利:店頭表示金利から1.4%引下げ
  • 全期間の金利引き下げ幅が同じプラン

    借入当初から返済終了までの全期間にわたり、店頭表示金利から一律で金利が引き下げられます。
    例) 固定金利期間選択型 (5年) 店頭表示金利:3.0% 引下後金利:全期間にわたり店頭表示金利から1.8%引下げ

    返済方法について

    返済期間

    ローンを組む際のポイントの1つが返済期間を何年にするかです。
    返済期間は、ローンごとに申し込む人の年齢などで最長年数が決められています。
    したがって、資金計画を立てるときには返済期間を最長年数で設定しがちですが、返済期間を長く設定すると毎月の返済額を低く抑えることができる反面、総返済額は増えます。逆に、返済期間を短くすると、毎月の返済額は増えますが、総返済額を抑えることができます。
    そこで、返済期間をどの程度まで短縮できるかを掲載してみることが必要です。
    返済期間はできれば短く設定する方が望ましいのですが、資産した返済額に無理がある場合は、ある程度長期で設定せざるを得ません。また、今は無理がなくても将来的に家計を圧迫する可能性がある場合は、毎月の返済額を抑えるために長期で設定する方が安全です。
    返済期間を長期で設定した場合、毎月の家計に余裕があれば途中で期間短縮型の繰上返済をするなどして、定年後にローン返済が残らないようにしたいものです。

    返済方法とは?

    返済方法には、元利均等返済と元金均等返済があります。

    元利均等返済

    毎月の返済額(元金+利息)が返済期間を通じて一定額となる返済方法

  • メリット
    返済額(元金+利息)が一定のため、返済計画が立てやすい。
    元金均等返済に比べ返済開始当初の返済額が少ない。
  • デメリット
    同じ返済期間の場合、元均等返済よりもローンの返済総額が多い。
    また、元金(ローン残高)の減り方が遅い。
  • 元金均等返済

    毎月一定の元金と、残元金から計算した利息を合計した金額を支払う返済方法

  • メリット
    返済額(元金+利息)は返済が進むにつれ少なくなる
    元利均等返済に比べて元金の減少が速いので、同じ返済期間の場合、
    元利均等返済よりもローンの返済総額は少ない。
  • デメリット
    返済開始当初の返済額が最も多く、当初の総返済負担率が高いので、
    元利均等返済に比べて、借入可能額は少なくなる場合がある。
  • 繰上返済とは?

    繰上返済とは、毎月 (またはボーナス時) の返済以外に、残高の全部または一部を返済することを繰上げ返済といいます。

    期間短縮型 返済額軽減型
    月々の返済額は変えず、借入期間を短縮する方法

    メリット

    • 短縮した期間について、返済が早く終わる
    • 返済額軽減型と比べ支払利息の総額を減らすことができる

    デメリット

    • 多くの金融機関では短縮した期間を再度延長することはできない
    借入期間は変えず、月々の返済額を少なくする方法

    メリット

    • 毎月のやりくりが厳しくなった場合に、毎月の返済額を減らすことができる

    デメリット

    • 期間短縮型と比べて支払利息の総額が多くなる

    繰上返済の手続き

  • 繰上返済について
    繰上返済により、将来の支払利息を軽減できますが、手元資金がそれだけ減少してしまうことには注意が必要です。
    繰上返済後の生活に支障ををきたさないように、予備費として少なくとも毎月の生活費6ヵ月分程度は確保しておく必要があります。
  • 手数料について
    手数料が必要な場合や無料の場合など金融機関によって異なります。手数料が必要な場合は、手数料を含めて支払利息の軽減効果を把握しましょう。
  • 手続きの期間・手続き方法について
    手続きの時期(2週間から1カ月前までに申し出る必要がある場合など)や方法(窓口での申込みやインターネットで申込みなど)は、金融機関によって異なります。申し出が遅れると、希望した時期に繰上返済できませんので注意しましょう。
  • 繰上返済額について
    いくらから申込できるのか金融機関によって異なりますので確認しましょう。
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