1. 不動産投資には確定申告が必要
不動産投資によって得られる所得(不動産所得)については、確定申告が必要となります。
具体的には、以下の点に注意が必要です:
- 不動産投資による所得(家賃収入など)が年間20万円を超える場合、確定申告が義務となります。
- 不動産所得とは、家賃などの収入(総収入金額)から経費を差し引いた額を指します。
- 年間20万円を超えていない、または賃貸経営で利益を得られず赤字だった場合は、確定申告の義務はありません。
2. 確定申告の手順・方法
- 確定申告の方式(青色申告または白色申告)を決める。
- 必要な書類を準備する。
- 決算書を作成する。
- 確定申告書を作成する。
- 税務署へ提出する。
1. 確定申告の時期
確定申告の提出期間は、毎年2月16日から3月15日までです。
この期間内に確定申告を行う必要があります。
ただし、還付申告については、2月15日以前でも行うことが可能です。
期限を過ぎてしまった場合、ペナルティが発生する可能性があるため、期間内に確定申告を行うことをお勧めします。
不明な点があれば、ネクストインテリジェンスのスタッフにお気軽にご相談ください。
2. 必要な書類の準備
確定申告書第一表・第二表
収入金額、所得金額、税金の計算など各項目ごとの集計金額を記入します。
確定申告書第三表(分離課税用)
譲渡所得の内訳書
不動産購入時の売買契約書のコピー
物件の売買契約を締結した書類です。
不動産の取得費用が分かる領収書のコピー
不動産の取得費用を証明するための領収書は、不動産を購入した際に支払った金額を示すものです。具体的には、以下のようなものが該当します:
不動産の購入契約書
仲介手数料の領収書
具体的には以下のような内容が記載されています:
- 受領者名
- 受領金額
- 受領日付
- 受領したことを示す文言(「上記正に受領しました」等)
ただし、宅地建物取引業界では、顧客が媒介手数料を振込み支払った場合は、その振込控をもって領収書と見なすことが少なくありません。
これは、数千万円の領収書になると印紙代が高額になるためです。
したがって、振込控えを大切に保管しておくことをお勧めします。
住宅ローンの返済履歴や金銭消費貸借契約書のコピー
購入時の不動産業者の価格が記載されているパンフレット等
不動産売却時の売買契約書のコピー
不動産の譲渡費用が分かる領収書のコピー
不動産の譲渡費用に関する領収書の例をご紹介します。領収書は、以下のような形式で作成されます。
【タイトル】:不動産譲渡費用領収書
【宛名】:(譲渡者の名前)
【日付】:(支払いが行われた日付)
【金額】:(支払った金額)
【内訳】:(支払った費用の詳細。例えば、仲介手数料、印紙税、立退料、建物の取り壊し費用など)
【但し書き】:(必要に応じて)
【発行者】:(費用を受け取った人や会社の名前)
この領収書は、不動産の譲渡に関連する費用を証明するために使用されます。
具体的な費用としては、仲介手数料、印紙税、立退料、建物の取り壊し費用などが含まれます。
これらの費用は、不動産の譲渡に直接関連しているため、譲渡費用として認められます。
登記事項証明書
本人確認書類
運転免許証またはパスポート
住民基本台帳カード
住民票の写しまたは住民票記載事項証明書
源泉徴収票
給与所得がある場合、給与天引きされた所得税が還付される場合もあるため、源泉徴収票も必要になります。
3. 決算書の作成
個人事業主として確定申告を行う場合には、貸借対照表を作成する必要はありませんが、損益計算書を作成し、不動産投資における損益を計算することになります。
損益計算書(P/L)
4. 確定申告書の作成
確定申告書を作成する際には、マイナンバーカード方式やID・パスワード方式などを選択できます。
5. 申告
マイナンバーカード方式
マイナンバーカード方式とは、マイナンバーカードを使って、e-Taxへログインするための手段です。
原則、e-Taxへログインするためには、利用者識別番号(数字16桁)及び暗証番号を入力する必要がありますが、マイナンバーカード方式を利用すれば、マイナンバーカードを読み取り、利用者証明用電子証明書の暗証番号(数字4桁)を入力することでe-Taxへログインができます。
マイナンバーカード方式のメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
- 利用者識別番号(数字16桁)及び暗証番号の管理が不要です。
- 利用者識別番号等は、マイナンバーカード方式でログインすれば、メインメニューからの確認ができます。
- e-Taxを利用するために事前準備として必要であった電子証明書の登録が不要です。
- マイナンバーカードの電子証明書(有効期限:5年間)が失効した場合は、市区町村の窓口で電子証明書の更新を行うことで、e-Taxをご利用いただけます。
ID・パスワード方式
ID・パスワード方式とは、e-Taxで申告・申請データを送信する際に電子証明書による電子署名が不要になる方式です。
具体的には、「確定申告書等作成コーナー」で作成した申告データを送信する際に、電子証明書による電子署名が不要となります。
これは、ID・パスワード方式を利用するための手続において、事前に本人確認を行っているためです。
ID・パスワード方式を利用するための手続は、以下の2つの方法があります
- 税務署での届出:税務署で職員の対面による厳格な本人確認のうえ、ID・パスワード方式の届出を作成・送信すると、利用者識別番号を取得できます。
- WEBからの届出:マイナンバーカードを使って、「確定申告書等作成コーナー」からID・パスワード方式の届出を作成・送信すると、利用者識別番号を取得できます。
なお、ID・パスワード方式を利用して申告書の送信を行った場合でも、e-Taxのメッセージボックスの閲覧については、原則としてマイナンバーカード等の電子証明書が必要です。
6. 納税
確定申告後に発生する納税も忘れずに計画的に行います。
確定申告後の納税手順は以下の通りです。
1. 納付期限の確認:納税の期限は、確定申告書の提出期限と同じ3月15日です。
2. 納税方法の選択:納税方法は、以下の5つから選ぶことができます。
- 窓口で納付
- 口座引き落とし
- 電子納税
- クレジットカード
- QRコードでコンビニ納付
3. 納税の実行:選択した納税方法に従って、期限内に税金を納めます。
以上が基本的な手順ですが、具体的な手順は、個々の所得状況や税法等により異なるため、専門家の助けを借りることをお勧めします。
また、国税庁のホームページやe-Taxには詳しいマニュアルやガイドがありますので、そちらもご活用ください。
7. 消費税の申告・納税
不動産取引に伴う消費税も正確に申告・納税しましょう。申告・納税方法は以下の通りです:
課税対象と非課税対象の理解
不動産取引における消費税は、取引の性質により課税対象と非課税対象が存在します。
例えば、土地の売買や貸付(借地)は法律の規定で、非課税とされています。
一方、売主が課税事業者の場合の建物の売買は課税対象となります。
消費税の計算
課税対象となる取引については、その取引代金の10%に相当する消費税を負担することになります。
具体的には、税率ごとに区分した課税期間中の課税資産の譲渡等の税込価額の合計額に、110分の100または108分の100を掛けて税率ごとの課税標準額を算出し、それぞれの税率(7.8%または6.24%)を掛けて売上税額を算出します。
確定申告の手続き
消費税及び地方消費税の確定申告は、国税庁の指定する様式に従って行います。
具体的な手続きや必要な書類については、国税庁のウェブサイトや税務署で詳細な情報を入手できます。
3. 不動産投資で経費として認められるもの
- ローンの金利:不動産の取得にローンを利用した場合、返済金額のうち利息は経費にできます。
- 建物の管理費:居住スペースの設備の保守管理や共用設備の清掃などにかかった費用は、その分を経費にできます。
- 管理委託料:管理会社に物件の管理を委託した場合、その料金は経費として計上できます。
- 入居者募集にかかる費用:新聞広告やチラシ配布、宣材としてのポケットティッシュ作成や配布にかかる費用なども広告宣伝費として認められます。
- 建物および部屋の修繕費:建物の原状回復に関する修繕や設備の故障を修理した費用は、修繕費として経費にできます。
- 旅費や交通費:不動産投資のための旅費や交通費は経費として計上できます。
- 司法書士や税理士の報酬:不動産投資に関わる士業への報酬も経費として認められています。
- 自動車にかかる費用:法人や個人事業主が不動産投資による不動産売買業や不動産賃貸業専用に車両を購入した場合は、車両購入代金、車検や修理などの費用、自動車税、保険料、レッカー代金などが経費として認められます。
4. 不動産投資の確定申告で節税するには?
不動産投資の確定申告で節税をするための方法は以下の通りです:
- 減価償却:建物の取得費用を、耐用年数に応じて毎年費用計上することができます12。これにより、会計上の赤字を作り出し、その赤字を他の所得と損益通算することで所得を圧縮し、節税につながります。
- 必要経費の計上:不動産投資に関する必要経費(租税公課、修繕費、減価償却費、損害保険料、管理費、広告宣伝費、交通費、新聞図書費など)を計上することで、所得を減らし、節税につながります。
- 青色申告:青色申告を選択すると、特別控除の適用があり、最高で65万円の控除が可能です2。これにより、所得を減らし、節税につながります。
- 固定資産税:私有地でも、土地の公益性が高い場合(例えば、敷地内に公園を設け一般開放するなど)は、固定資産税が非課税になるケースもあります。
- 損益通算:不動産所得で赤字になってしまった場合、給与所得など他の所得と損益通算することで節税につながります。
5. 不動産投資の確定申告で注意すべきこと
不動産投資の確定申告で注意すべきことは以下の通りです。
- 節税するためには、確定申告で計上できる不動産投資の必要経費を正しく把握し、過不足が出ないように計上することが大事です。
- 海外不動産投資の確定申告で重要なのが、「海外で納付した税金をどれだけ控除できるか」です。
- 限度額を超えた分は住民税から控除できます。
1. 確定申告をしなかったときのペナルティを知っておこう
確定申告をしなかったときのペナルティは以下の通りです:
- 本来納付すべき税額に加え、ペナルティとして「無申告加算税」が課されます。
- 無申告加算税の税率は本来納める税額によって決定します。本来納付する税額が50万円未満の場合は15%、50万円を超える場合は20%の税率が課されます。
- 税務署から調査があった後に申告した場合と、調査がある前に自主的に申告した場合では課せられるペナルティに違いがあります。
- 期限後に確定申告を行うと、原則として法定納期限(法律で定められている国税の納付すべき期限)の翌日から確定申告を行うまでの日数に応じて、利息分に相当する延滞税が自動的に発生する仕組みになっています。
2. 誰かに任せきりにしない
確定申告は個人の責任です。専門家に相談しつつも、自らも理解しておきましょう。
不動産投資の確定申告 よくある質問
不動産投資の確定申告に関するよくある質問は以下のようなものがあります:
不動産投資で確定申告が必要なのはどんなとき?
具体的には、以下のような場合に確定申告が必要となります:
- 土地や建物などの不動産の貸付け
- 借地権など不動産の上に存する権利の設定および貸付け
- 船舶や航空機の貸付け
不動産投資で確定申告するなら青色申告がいい?
特別控除
青色申告では、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられます。
具体的には、65万円または10万円の特別控除が受けられます。
ただし、65万円の特別控除を受けるためには、「アパートは10室以上、貸家は5棟以上」という規模で物件を持って事業を展開している必要があります。
一方、10万円の特別控除であれば、マンション1件(室)という規模でも認められます。
赤字の繰越
青色申告では、事業で「赤字」が出た場合に、3年間繰り越すことが可能です。
これにより、利益の多く出た年と赤字の年が交互に起きた場合でも、所得を均等にすることが可能になります。
ただし、青色申告には以下のような注意点もあります:
- 申請書の事前提出:青色申告を利用するためには、事前に税務署に申請する必要があります。
- 複式簿記による記帳:65万円の特別控除を受けるためには、「複式簿記」で帳簿をつける必要があります。
まとめ
不動産投資における確定申告は複雑ですが、正確に手続きを行い、節税方法を活用することで効果的な運用が可能です。
不明点があれば専門家に相談し、年末調整を円滑に進めましょう。
詐欺にあわない為には自分の違和感を信じることが大切
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